アメリカ株式市場で高配当な業種と言えば電気通信サービス・セクターです。このセクターに集中投資できるETFがバンガード社のVOXで配当利回りは4.15%もあります。
他に高配当なセクターと言えば、バンガード・米国公益事業セクターETF(4.14%)やバンガード・米国生活必需品セクターETF(3.24%)、バンガード・米国エネルギー・セクターETF(3.18%)があります。
逆に配当ではなく、キャピタルゲインを重視するならここ1年で3割弱も成長した情報技術セクターがあります。過去に調査した情報技術セクターに関する記事はこちらです。
という事で今回は配当重視のポートフォリオでは積極的に保有したい電気通信セクターETFのVOXについて調べて見ました。
VOXの特徴
VOXとは世界第2位の運用資産額を誇るバンガード社が運用するETFです。正式名称は「バンガード・米国電気通信サービス・セクターETF」です。
目標とするベンチマークはMSCI USインベスタブル・マーケット・電気通信サービス25/50インデックスです。このインデックスは米国の電気通信・セクターの大型株、中型株、小型株の全25銘柄で構成されています。
このセクターに分類される企業数が少ないため、構成銘柄数も少ないです。
構成銘柄の企業は固定回線、携帯無線、ワイヤレス、広帯域通信、光ファイバー・ケーブルネットワークを通じて通信サービスを提供する企業で構成されています。
気になる経費率は0.10%です。バンガードのETFは総じて信託報酬が安いのが良いですね。
産業サブグループ別構成比率
このセクターは産業サブグループが3グループと少ないです。しかもAT&TやVerizon Communicationsに代表されるような総合電気通信サービスだけで6割以上を占めています。
産業サブグループ | 構成比 |
総合電気通信サービス | 60.7% |
代替通信事業会社 | 24.1% |
無線通信サービス | 15.2% |
構成銘柄
VOXは全25銘柄で構成されています。
上位2銘柄だけで約半数と言うかなりETFにしては偏った投資割合ですね。ETFだから銘柄分散されていると勘違いせずに特徴は理解したうえで投資するのが得策です。
ティッカー | 銘柄 | 構成比率 | 配当利回 |
VZ | Verizon Communications Inc. | 24.3% | 4.9% |
T | AT&T Inc. | 24.1% | 6.2% |
CTL | CenturyLink Inc. | 5.2% | 11.9% |
TMUS | T-Mobile US Inc. | 4.5% | – |
ZAYO | Zayo Group Holdings Inc. | 3.3% | – |
VG | Vonage Holdings Corp. | 2.9% | – |
S | Sprint Corp. | 2.6% | – |
IRDM | Iridium Communications Inc. | 2.5% | – |
TDS | Telephone & Data Systems Inc. | 2.4% | 2.5% |
SHEN | Shenandoah Telecommunications Co. | 2.3% | 0.9% |
構成銘柄上位人の顔ぶれを見ていると無配の 銘柄と高配当の銘柄と両極端ですね。
配当と言えばブラックロック社の米国高配当株式が利回りが4.4%もあるETFがあります。
株価・チャート
直近1年間、3年、設定来である2004年からのトータルリターンを先進国トップのアメリカ株式を投資対象としたVTIと比較していきます。
まずは1年間での比較です。VOX(緑)の比較対象としてメリカ株式に広く投資するVTI(青)を並べています。ここ1年ではVOX(緑)の方がパフォーマンスが良いですね。
トータルリターンはVTIの15.3%に対し、VOXは-8.2%です。アメリカ経済は順調に成長しているのに対し、電気通信サービスは振るわないですね。ここを逆張りポイントと捉えるかはお任せしますが…
ETFreplay.comより
次は3年間での比較です。直近3年間のうち、2016年ごろはVOX(緑)がVTI(青)を出し抜く形になっています。ですが2017年からはVOXは振るわず、3年間では15.8%のVOXに対し、VTIは13.2%でした。
ETFreplay.comより
最後にVOX(緑)の設定来となる2004年からのチャートです。リーマンショックまではVOX(緑)よりVTI(青)のほうが良い成績でした。リーマンショック後しばらくは優劣つけがたい成長が続いていましたが、ここ2年のパフォーマンスは大きな差があります。
ETFreplay.comより
VTI(青)は242.1%のリターンに対し、VOX(緑)は150.6%です。ボラティリティはVTI(青)の18.7%に対しVOX(緑)は19.5%と若干VOXのが高いです。組み入れ銘柄数が比べ物にならないくらい差がありますから当然の結果とも言えますね。
ちなみに比較対象にしたVTIはアメリカ株式をほぼ網羅するようなETFで経費率も激安なので万人におススメできるETFです。
配当・増配率
過去の配当実績は下図のとおりです。現在の株価に対する配当利回りは4.15%です。高配当ETFのVYMよりも高配当です。
まとめ
- 高配当な電気通信セクター内の複数の銘柄に分散投資ができる
- だけど25銘柄と実はあまり分散されていない
- ここ最近はマイナス成長
- 逆張り志向なら仕込み時かもしれない
特定の国、セクターに集中投資したくない場合は世界中のあらゆる銘柄に超分散投資ができるVTと言うETFがあります。