楽天投信投資顧問が頑張っていますね。日本人に人気のバンガード社のETFであるVTを投資対象とした投資信託を出しています。
ノーロードの投資信託なので手数料を気にせず100円の少額から簡単に世界中の株式に分散投資ができます。それがこの「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」ですね。
似たような仕組みの投信には他にも通称・楽天VTIこと楽天・全米株式インデックス・ファンドや楽天VWOこと楽天・新興国株式インデックス・ファンドなどがあります。
米国市場ETFを楽天の投信を通じて低コストで購入できる対象が増えてきています。
本記事の結論・まとめ
- 楽天VTは手数料無料(買付・為替)で100円から投資が可能
- 100円でも世界47カ国の8,000銘柄に幅広く分散投資が可能
- ただし半数はアメリカ株で構成されている
- 世界中の株式に分散できて信託報酬が0.2196%と安い
以下の章ではこの結論に至った理由を書いて行くので最後までお読みください。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(通称・楽天VT)とは
楽天VTIと呼ばれるとおり本家はバンガード社のバンガード・トータル・ワールド・ストックETFです。今日はこの本家VTと楽天VTを比べてみます。
楽天VT基本データ | |
投資対象 | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) |
対象インデックス | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス |
配当利回り | 0.00% |
経費率 | 0.2196% |
配当月 | なし |
構成銘柄数 | 8,116(VTの構成銘柄数) |
設定日 | 2017/9/29 |
本家VTこと「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」とは
VTとは世界第2位の運用資産額を誇るバンガード社が運用するETFです。正式名称は「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」と言うニューヨーク証券取引所に上場するETFです。
対象ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスです。このインデックスはアメリカを含む全世界の株式を対象としています。全世界が対象なのでアメリカも日本も他の先進国、新興国、全てが投資対象になります。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)基本データ | |
投資対象 | 先進国、新興国から成る47か国の大型~小型株式 |
対象インデックス | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス |
配当利回り | 2.27% |
経費率 | 0.09% |
配当月 | 四半期毎(3,6,9,12月) |
構成銘柄数 | 8,116(VTの構成銘柄数) |
設定日 | 2008/6/24 |
文字通り「投資対象は全世界の株式」という事になります。組み入れ銘柄数も8,116銘柄と非常に多くなっています。
これだけ分散されているにも関わらず、経費率は0.09%と格安です。2008年設立と10年の歴史のあるETFです。
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本家VTの国別構成比率
世界中の株式市場の時価総額の構成比率が再現されているため投資対象の52%はアメリカ株式です。日本、イギリスと続いていきます。
上記の図には出てきませんが、新興国各国の株式も投資対象に含まれており、インド(1.2%)、南アフリカ(0.8%)、ロシア(0.4%)、インドネシア(0.3%)なども含まれています。
(通称・楽天VWO)楽天・新興国株式インデックス・ファンドが良い
本家VTのチャート
VTの1年5年11年間のチャート(緑)です。比較用にVTI(青)も表示させています。いずれも配当金込みのトータルリターンのチャートです。
VTもアメリカ株式を52%含んでいるため、アメリカ株式以外の48%分がVTIとの差として表れています。
まずは1年間のチャートです。半分は同じ米国株式なので似たようなチャートです。短期間では特に目立った差は見られません。
ETFreplay.comより
続いて5年間のチャートです。VTは60.9%のリターンです。素晴らしい数字なのですが、VTIと比較するとアメリカ株式が好調すぎて映えませんね。
ボラティリティも8,000銘柄近いVTの方が若干高く12.8%です。対して組み込み銘柄数が半数程度のVTIは12.5%です。
ETFreplay.comより
最後にVTが設定された2008年からの11年間のチャートです。2012年ごろからVTとVTIの差が広がっています。
VTのリターン92.1%に対し、VTIは166.6%と圧倒的な差です。両社の違いはVTIは米国株100%に対し、VTは米国以外を48%含んでいる点です。いかに米国株式が他国と比べて成長していたかがわかりますね。
ETFreplay.comより
やはりここでもボラティリティもVTIのほうが優秀でVT22.1%に対し、VTIが20.2%です。世界重の株式に分散するよりもアメリカ株式に集中投資した方がボラティリティを抑えられると言う、お手本とは逆の結果が残っています。
ただし、過去の実績は未来のリターンを約束するものではありません。
(通称・楽天VTI)楽天・全米株式インデックス・ファンドが良い
楽天VTの目論見書を読む
楽天VTIの目論見書を読んでみました。インデックスファンドという事もあり、本家VTIとほぼ同じですね。決算が年1回と言う点は本家VTIと異なります(本家VTIは年4回です)。
投資対象地域:国内外
対象インデックス:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
為替ヘッジ:なし
決算:年1回(毎年7月15日)
投資先:バンガード・トー タル・ワー ルド・ストックETF(VT)
下図のように楽天VTを通じて本家VTに投資することになります。
※楽天投信投資顧問 楽天・全米株式インデックス・ファンド 交付目論見書より引用
信託報酬:0.2296%
この信託報酬は投資対象の本家VTの信託報酬(0.09%)を含んだ数値になります。
楽天VTはアリかナシか
好みで分かれるところです。なるべくシンプルに投資を実行したい場合、コレ1本で世界中に分散投資が可能なこの楽天VTだけで済ませるのもアリです。
自分で投資割合をリスク許容度に応じてコントロールしたい方は勝手にリバランスされてしまうVTは不向きですね。
米国の本家VTをポートフォリオに組み込む場合は手数料負けしないように十数万円ずつは買い付けたいですが、楽天VTの場合、投資信託であるメリットを利用して少額で毎月積み立てることができます。
ドルコスト平均法のメリットも最大限教授できます。
楽天証券からの場合、買い付け手数料も信託財産留保も不要です。そのため、ドルコスト平均法の効果を享受するために楽天VTを積み立て設定で定期買い付けをしつつ、一定額たまったら一度、解約して本家VTに投資しなおす作戦もありですね。
その場合、ドル転のための為替手数料は必要ですが、楽天投信投資顧問等への信託報酬分(0.1296%)のコストカットが実現できます。
ただし、本家VTを直接買い付ける場合、外国税控除を受けるために確定申告が必要になる点は注意が必要です。
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